「自分のスキルが社外で通用するのか、正直分からない」
「転職サイトに登録したけど、経歴に書けることが思いつかない」
SE歴が長い人ほど、実はこの悩みにハマります。
先に結論です。市場価値が分からないのは、スキルが無いからではありません。
自分の経験を「言語化する手順」を知らないだけです。
私はSE歴17年(開発SE約12年→社内SE約5年)の現役SEです。
40代で転職活動を始めたとき、最初にやったのがこの「スキル棚卸し」でした。
棚卸しをする前の私は、自分のことを
「インフラも開発もサポートもやる、専門性のない何でも屋」だと思っていました。
棚卸しを終えた今は、まったく逆の結論を持っています。
この記事では、私が実際に使った棚卸しの手順を、
そのまま真似できるテンプレート付きで解説します。
転職するか迷っている段階でも、棚卸しは「今の会社での武器」にもなります。

市場価値が分からない本当の理由
SEが「自分の市場価値が分からない」と感じる理由は3つあります。
- 毎日やっている仕事すぎて、価値があると思えない(当たり前化)
- スキルを「Java」「VMware」など技術名の羅列でしか説明できない
- 比較対象が社内の同僚しかいない
特に1つ目が厄介です。あなたが「誰でもできる」と思っている仕事は、
社外から見ると「できる人を探している」仕事だったりします。
私の場合、それは「ベンダー見積もりの妥当性チェック」でした。
ベンダーの提案書を見て「この工数は積みすぎだ」と判断する仕事を、
私はただの日常業務だと思っていました。
でも転職活動で求人票を読み込むうちに、これは
「開発経験のある社内SEにしかできない仕事」だと気づいたのです。
自分の当たり前は、市場の希少品でした。
SEのスキル棚卸し 5ステップ(テンプレート付き)
Step1:経歴を時系列で「全部」書き出す
まずは質より量です。関わった案件・業務・トラブル対応を、
小さいものも含めて時系列で書き出します。
この段階では「大したことない」という自己判断は禁止です。
私は17年分を書き出しました。開発時代の案件、
社内SEとしてのインフラ更新、日々の問い合わせ対応の工夫まで、
「これは書くほどでもない」と思うものほど、あえて書きました。
Step2:案件ごとに「課題→行動→成果」で整理する
書き出した経験を、次のテンプレートに流し込みます。
| 項目 | 書くこと | 記入例 |
|---|---|---|
| 案件・業務 | 何をやったか | 仮想化基盤の更改プロジェクト |
| 課題 | 何が問題だったか | 基盤の老朽化とバックアップ体制の脆弱さ |
| 私の行動 | 自分は何をしたか | 複数ベンダーを比較評価して選定。予算・進捗を管理し移行を主導 |
| 成果 | どうなったか | 計画どおり移行を完遂。災害時の復旧体制を確立 |
| 使える相手 | どんな会社に刺さるか | 社内SE求人、インフラ運用ポジション |
ポイントは「私の行動」を主語「私」で書くことです。
「チームで対応した」ではなく「私が何をしたか」まで分解します。
Step3:成果に数字をつける
「効率化した」ではなく「残業を約20%削減した」。
「改善した」ではなく「作業時間を約25%削減した」。
数字が入った瞬間、実績は誰にでも伝わる形になります。
私の棚卸しから拾えた数字の例を挙げます。
・対応手順のマニュアル化で、繁忙期の残業時間を約20%削減
・業務ヒアリングからのシステム改善提案で、作業時間を約25%削減
・請求業務の事前チェックの仕組みを自作し、担当期間中の差し戻しゼロ
どれも、やった当時は「普通の仕事」でした。
正確な数字が残っていなければ「約」で構いません。
Step4:「誰に売れるか」で仕分ける
整理した経験を「開発力」「インフラ・運用」「マネジメント」の
3つの棚に仕分けます。すると、自分がどの求人市場で
戦えるのかが見えてきます。
私の場合、この仕分けで初めて気づいたことがあります。
1つ1つの棚では、私より強い人はいくらでもいます。
でも「開発12年×インフラ運用×グループリーダー経験」という
3つの掛け算を持つ人は、そう多くない。
「何でも屋」は、仕分けると「掛け算の希少人材」に変わったのです。
Step5:他人の目で検証する
棚卸しの最大の敵は思い込みです。自己評価は必ずズレます。
検証方法は2つあります。
1つ目は、生成AI(ChatGPTやClaude)です。
私は棚卸し結果と職務経歴書をAIに読み込ませて、
「採用担当者の視点で、この経歴の強みと弱みを指摘して」と
壁打ちしました。自分では強みだと思っていなかった点を
指摘されて、書類の書き方が大きく変わりました。
(この手順は別記事「生成AIで職務経歴書を添削する方法」で公開しています)
2つ目は、転職エージェントとの面談です。
私も大手のエージェントと、地元に強い地域特化型のエージェントの
両方に登録し、複数の担当者と面談しました。
面談を受けて分かったのは、「自分で思っている自分の値段」と
「市場から見た値段」は、確実にズレているということです。
エージェントは毎日、求人と求職者を突き合わせているプロなので、
「あなたの経歴なら、この求人でこう評価される」という
市場のものさしで値付けをしてくれます。
私の場合、自分では平凡な日常業務だと思っていた経験が、
求人票の要件と結びつけて評価される場面が何度もありました。
棚卸しで自分なりに整理した内容を、プロの目で検証してもらう。
このひと手間で、応募先の選び方が具体的になりました。
登録も面談も無料です。使わない理由がありません。
「40代SEにおすすめの転職エージェントはこちらで比較しています」
実例:棚卸しビフォー→アフター
最後に、私自身の棚卸しの前後をまとめます。
【ビフォー】
- 自己認識:「専門性のない何でも屋。40代でこれはまずい」
- 職務経歴書:5社分の業務を均等に羅列。強みが自分でも分からない
【アフター】
- 自己認識:「開発×インフラ運用×マネジメントの掛け算は希少」
- 職務経歴書:掛け算の強みを冒頭の要約で言い切り、実績は数字で提示
- 副産物:ベンダー見積もりの妥当性判断という「隠れた売り物」を発見
かかった時間は、書き出しから整理まで数日です。
数日で「自分の値札」が見えるなら、安い投資だと思いませんか。
まとめ:棚卸しは転職しない人にも武器になる
- 市場価値が分からないのは、言語化の手順を知らないだけ
- 「課題→行動→成果→数字」のテンプレートに流し込めば誰でもできる
- 自己評価は必ずズレる。AIとエージェントで検証する
棚卸しをしても、転職する義務はありません。
「いつでも転職できる状態」を持っておくこと自体が、
今の会社で働くうえでの最強の保険になります。

