40代SEの転職で年収を落とさない考え方|下限ラインの決め方と年収交渉の準備

40代の転職で年収を落とさない 下限ラインの決め方

「40代で転職したら、年収は下がるものだ」

そう思い込んでいませんか。私はそうは思いません。

私は40代・SE歴17年の現役SEです。過去の転職では、転職直後で年収70万円のアップ、その後の昇給を経て現在は転職前より150万円以上増えました

もちろん誰でも同じ結果になるとは言いません。ただ、はっきり言えることがあります。年収が決まるのは面接の場ではなく、その前の「準備」の段階だということです。

この記事では、40代SEが年収を落とさずに転職するための考え方を、実際にやったことベースで書きます。

目次

結論:年収は「交渉術」ではなく「準備」で決まる

年収交渉というと、面接での話し方のテクニックを想像するかもしれません。

でも実際に効くのは、その手前の3つです。

  1. 年収を正しく分解して比較する
  2. 自分の下限ラインを、活動を始める前に決めておく
  3. 希望額を「根拠」とセットで伝える

この3つができていれば、面接でうまいことを言う必要はありません。逆に、ここが曖昧なまま面接に臨むと、提示された金額をそのまま飲むしかなくなります。

図解:年収を落とさない3つの鉄則

40代の転職で年収を落とさない3つの鉄則の図解

鉄則1:年収は「分解」して比べる

賞与は「まぼろし」だと思っておく

まず、私の基本的な考え方をお伝えします。

賞与は、まぼろしだと思っておいた方がいいです。

どんなに業績が安定している会社でも、いつどんな状況に陥るかは分かりません。そして業績が悪化したとき、会社が真っ先に削るのは社員の賞与です。無い袖は振れないので、これは仕方のないことです。

賞与を当てにして住宅ローンを組む人もいますが、私はおすすめしません。私自身、これまで賞与が大きく下がった経験はありませんが、それでも当てにはしていません。

だから年収を比較するときは、基本給×12ヶ月+残業見込みという、動きにくい部分で揃えて比べます。提示された「想定年収」をそのまま比べると、賞与の割合が大きい会社ほど良く見えてしまうからです。

とはいえ、賞与の見極めは必要

一方で、現実として賞与が年収に占める割合はどうしても大きいです。だから「当てにしない」と同時に、「どのくらい安定しているか」は見極める必要があります。

見るべきなのは次の2つです。

  • その会社の売上と収益が安定しているか
  • 転職しようとしている業界が、今後も成長していく業界か

上場企業であれば、過去の業績も、社員の平均年収も公開されています。ここは必ず確認しておくことをおすすめします。

調べ方は別記事で詳しく書いていますが、IR資料を生成AIに読み込ませると短時間で分析できます。

鉄則2:下限ラインを、活動を始める前に決めておく

ここがこの記事の核心です。

結論:現年収を下回る転職は、おすすめしません

40代の転職で、私は現年収を下回る条件での転職をおすすめしません

理由は、多くの人が誤解している「ある仕組み」にあります。

転職後に「大幅な昇給」は、ほぼ起きない

「入社してから成果を出して、年収を上げればいい」

そう考える方は多いと思います。でも現実には、これはほぼ起きません。

なぜなら、会社には賃金テーブルがあり、評価ごとに昇給額が規定で決まっているからです。どれだけ大きな成果を上げて高い評価を受けても、そこを無視して一気に月給が数十万円上がることは、まずありません。

つまり、こういうことです。

大幅な年収アップは、転職時の交渉でほぼ決まってしまう。

入社後に取り返せる幅は、想像よりずっと小さいのです。だからこそ、最低でも現年収は維持してほしいと考えています。

さらに40代の場合、年収が下がるともう1つの問題が生じます。下がった年収から元の水準に戻すまでに、何年もかかるということです。定年までの残り時間を考えると、この数年の損失は決して小さくありません。

例外:通勤時間が大幅に短くなる場合

ただし、例外もあります。通勤時間が劇的に短くなるケースです。

たとえば片道1時間30分の通勤が、片道15分になるとします。往復で2時間30分、月に20日働けば月50時間が自由になります。

この時間を時給換算して加味すると、額面の年収が多少下がっても、実質的には同等以上という計算になることがあります。

年収は金額だけでなく、自分の時間単価で考える。この視点は持っておいて損はありません。

内定は、辞退していい

もう1つ、忘れないでほしいことがあります。

転職活動をして内定をもらっても、必ず転職しなければいけないわけではありません。

最終面接まで進んで、提示された年収を見て、それが自分の下限を割っていたら——辞退すればいいだけの話です

だからこそ、活動を始める前に「この条件なら転職しない」というラインを、自分の中で決めておくことが重要です。決めていないと、目の前の内定に流されます。

下限ラインの決め方

具体的な決め方は、次の3つの視点で考えます。

  • 生活費から逆算する:家族構成、教育費、住宅費から「これ以下だと生活が回らない」金額を出す
  • 転職のリスクと釣り合うか:40代の転職、特に転職回数が多い場合は、転職そのものがリスクです。そのリスクを負ってでも動く価値がある条件かどうか
  • 家族と合意しておく:あとで揉めないよう、事前に話しておく

私自身も、この考え方で「これを下回るなら転職しない」というラインを決めています。金額は人それぞれですが、決めておくこと自体が交渉力になります

「残留も選択肢」が、最強のカードになる

背水の陣で転職活動をしてはいけない

私が転職活動を焦らずに進められている理由は2つあります。

1つは、現職に大きな不満があって動いているわけではないこと。もう1つは、現年収が同年代と比べて特別低いわけではないことです。

つまり「転職しなくても困らない」状態で動いています。

これが最大の武器です。

私の失敗談:転職先を決める前に退職した

逆のケースも経験しています。

過去に一度、転職先を決める前に会社を退職したことがありました。結果として、その次の転職では失敗しました。

「絶対に転職しなければ」と気負ってしまうと、転職活動はうまくいきません。

  • 余裕のなさが面接に出てしまう
  • 焦って冷静な判断ができなくなる
  • その結果、条件を妥協して入社し、また合わないと感じる

背水の陣での転職活動は、絶対におすすめしません。心に余裕がある状態で動いてください

在職中に活動するのは大変です。それでも、「いつでも断れる」という状態がもたらす交渉力は、それを補って余りあります。

提示年収だけ見ていると、損をする

年収を比べるとき、提示された金額だけを見ていると見落とすものがあります。

退職金の制度を確認する

まず退職金があるかどうか、あるならどういう制度かを確認してください。

退職金制度には、主に次の種類があります。

  • 退職一時金:会社が独自に準備し、退職時に一括で支給する
  • 中小企業退職金共済(中退共):国の機関が運営する共済制度。中小企業で広く使われている
  • 確定給付企業年金(DB):将来受け取る額があらかじめ決まっている企業年金
  • 企業型確定拠出年金(企業型DC):会社が掛金を拠出し、従業員自身が運用する。運用成果で受取額が変わる

40代の転職者にとって重要なのは、企業型DCは転職先に持ち運べる(移換できる)という点です。転職が多い人ほど、この制度の有無は確認する価値があります。

仮に転職先で20年近く働くとすれば、退職金の金額は大きくなります。生涯年収で考えたとき、無視できない要素です。

手当は「年額」に直して計算する

住宅手当や家族手当の有無も、必ず確認してください。

月1万円の手当は、年間で12万円です。20年なら240万円になります。「たかが手当」と思っていると、比較を誤ります。

提示年収に手当が含まれているのか、別枠なのかも確認しておきましょう。

昇給ペースの調べ方

意外と盲点なのが、昇給のペースです。

  • 上場企業なら、IR情報から平均年収の推移が確認できます。自分で調べられるので、必ず見ておいてください
  • 非上場企業は、自力での確認が困難です。ここは転職エージェントに確認してもらうのが現実的です

今後の年収の伸び方が見えていた方が、安心して転職できます。聞きにくいことは、基本的にエージェントに任せる——これが賢い使い方です。

鉄則3:希望額は「根拠」とセットで伝える

年収アップだけを言っても、通らない

ここは誤解してほしくない点です。

ただ「年収を上げたい」と言うだけでは、企業は動きません。そこまでして採用する価値がある人材なのかを分かってもらえなければ、内定すら出ないからです。

必要なのは、入社後に自分が何をできるのか、どう貢献できるのかを具体的に説明することです。そのうえで年収アップを希望する。この順番です。

(面接での伝え方の詳細は、面接対策の記事で書いています)

転職活動は、実は「現職」から始まっている

そしてここが、多くの人が見落としている点です。

現職での仕事の取り組み方が、そのまま転職活動の武器になります。

なぜなら、転職先にアピールできる材料は、現職で身につけたスキルと出した成果だからです。

現職で成果が出ていない状態で、転職先で成果を上げるのは難しい——採用側はそう見ます。

業界や職種そのものを変える転職や、現職の環境がまったく合っていない場合を除けば、現職でしっかり成果を出しておくことが、その後の転職活動で圧倒的に有利に働きます

転職を考え始めた今この瞬間から、現職での仕事の意味が変わります。

エージェントには、年収が目的だと正直に伝える

転職理由が年収アップなら、転職エージェントには、はっきりそう伝えてください

エージェントにとって、求職者が何を求めて動いているかは最も知っておくべき情報です。それが分かっていれば、自然と希望に合う求人を紹介してくれます。

さらに、エージェント経由で応募先企業に「年収アップを希望している」と事前に伝えてもらえることもあります。

自分で言いにくいことは、エージェントに伝えてもらう。この方が話がスムーズに進みます。

面接で直接伝えるときのコツ

企業に直接伝える場合は、年収だけが目的ではないように伝えることが大切です。

具体的にはこの順番です。

  1. 応募先企業が求める人材に合わせて、自分がどう貢献できるかをアピールする
  2. そのうえで、年収アップも実現したいと伝える

これで「お金の話をするとは何事だ」とはなりません。そもそも40代がお金のかかる年代であることは、人事担当者も十分承知しています

「この人材を採用するには、どうすればいいか」と考えたときに、提示年収が重要な要素だと理解してもらえれば、それは大成功です。

実際に、そう伝えました

私自身、前職の採用面接で転職理由を聞かれたとき、年収アップを実現したいとはっきり伝えました

もちろん、入社後にどう貢献できるかをしっかり説明したうえでの話です。

結果として、転職直後で年収70万円のアップ、その後の昇給を経て、現在は転職前より150万円以上増えています

私の失敗:「御社の規定に従います」と言っていた頃

最後に、過去の反省を書きます。

昔の私は、面接で年収を聞かれると「御社の規定に従います」と答えていました。

理由は単純で、給与やお金の話をするべきではないと思い込んでいたからです。

でも、これでは安く買い叩かれる可能性があります

企業側からすれば、希望額を言わない応募者に、わざわざ高い金額を提示する理由がありません。「規定に従う」と言われれば、規定の下限を出すのが自然です。

年収は、生活に直結する最も重要な条件の1つです。年収アップを実現したいなら、それははっきり伝えるべきことだと、今は考えています。

まとめ:会社の評価と、市場の評価は一致しない

最後に、年収について諦めかけている方に伝えたいことがあります。

会社からの評価と、転職市場での評価は、必ずしも一致しません。

社内での評価がいまひとつで、なかなか昇給・昇格していなかったとしても、転職市場では希少価値のある人材として、大幅な年収アップを実現できる可能性があります。

だから、今の年収が高くなくても、がっかりする必要はありません。

そして、もう1つ大事なことがあります。

転職はリスクを伴いますが、転職活動そのものはノーリスクです。

まず活動してみて、自分の市場価値を見てもらう。思っていたより高い評価が返ってくるかもしれません。条件が合わなければ、辞退すればいいだけです。

◆「35歳転職限界説」は、もう過去の話

かつては35歳を超えると転職は難しいと言われていました。今はもうそういう時代ではありません

少子高齢化が進み、エンジニアは不足しています。企業は若年層向けに求人を出しても、応募がほとんどないという話をよく聞きます。

実際、今は40代どころか50代でも転職に成功している時代です。

40代の転職活動は、無謀なことではありません。年齢を理由に、諦めないでください。

まずは転職エージェントに相談してみるところから始めてみてください。登録も相談も無料で、断ることもできます。失うものは何もありません。

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